涙の海
博愛
ウェイクと会った晩もまた夢をみた
毎夜見ているから当然だが
また優しさと寂しさの入り交じった瞳で見つめている
私はその瞳に微笑んでみた
すると、また人間の目に水が
アルバートいわく、涙とゆうものらしい
でも、今日の瞳は寂しさなどなく、喜びに満ち溢れている
そして彼は、私を包みこんだ
なぜか心が和んだ
昨日の苦しみが嘘のようだった
・・・笑顔になってよかった



目を覚ますと、アルバートとフェイがいた

「おはようマリン、君は昨日新しく来た海蛇に会ったのか?」

突然の質問に私は戸惑った
それを見兼ねたフェイが

「アルバート、そんなに急に聞いては駄目よ。マリンはまだ起きたばかりよ?またあの夢を見ただろうし」

マリンは心配そうに私を見つめている

「うむ・・・、すまんかったなマリン。またあとで話そう」

そう言うと、アルバートとフェイはどこかに泳いで行った

「なにか悪いことしたかな?」

誰もいなくなった海に私は呟いた



朝食をすませた私は、先ほどの話が気になったのでアルバートを捜していた

「お〜い、マリン!」

リックの声だ
私はリックに近づいていった

「おはよう、マリン。昨日はごめんね・・・。僕、怖くて」

「おはよう、別に気にしてないよ。ただ、ちょっと変わった海蛇だったけど」

「そうなの?変なことされなかった!?」

「えぇ、大丈夫よ。でも、なぜか夢のことを知っていたの」

「夢のことを?なんでかな〜?」

リックは目を閉じ、考えだした

「ごめん、私アルバートを捜してるの。またあとでね」

そう言ってリックに別れを告げたあと、私はまた泳ぎだした
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