涙の海
「なにもされなかった!?」

フェイはとても心配そうにしてくれた
その行為に私は心が暖かくなるのを感じる

「えぇ、大丈夫よフェイ。話をしていただけ」

「ならいいけど・・・。リックが教えてくれたのよ。海蛇のおじさんがマリンの所に向かったって」

見れば、リックが物陰からこちらの様子を見守っている

「そう・・・ありがとうリック。なにもされてないから大丈夫だよ」

私がそう言うとリックは安心したように物陰から出てきた

「もうすぐアルバートも来るわ。みんなで彼のことについて話し合いましょう」

「でも、ホントに話してただけよ?」

余程ウェイクを信用してないのか、フェイはとても心配している

「彼は・・・あなたには危ないわ」

危ない?
なにも危険なことなどされていないのに
確かに言動は理解不能なとこがあるけど・・・

「やぁや、待たせたのぅ。マリン、大丈夫か?」

そうこうしてるうちにアルバートが来た

「えぇ、大丈夫。それより、なにが危ないの?」

「それはわしから話そう」

アルバートが一歩前に出た

「恐らく奴は・・・魔物じゃ」

余りに突然の言葉に私は一瞬戸惑った
魔物?
確かに怪しい雰囲気を醸し出してはいるが、何故そう言いきれるのだろうか

「何故そう思うの?」

「マリンも知ってのとうり、このアクアガーデンの外は危険地帯じゃ。フェイ達クジラでもなければ、たちまちサメに襲われてしまう」

確かに、私もそのせいで記憶を失った

「だが奴は海蛇。サメに襲われればひとたまりもないはずじゃ。それなのに無傷でここまで来た。しかも、いつのまにかな」

そう言われればその通りだ
あんな小さな身体(と言っても私よりは大きいが)ではサメに襲われれば無事着くのは難しいはず
着いたとしても私のように傷を負うだろう

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