青い空のかなた
「こんなもんかな〜。」

鏡に映った顔を、上に下に左に右に。いろんな角度から最終チェック。

「うん。よし!」

お気に入りの服にお気に入りの靴、お気に入りのバッグで。今日は特別な日だから、とっておきのお気に入りでお出かけ。

彼が車で迎えに来た。

「おはよ。」
「おはようございます。」
「どこに行くか決めたか?」
「あのね、水族館に行きたい。」
「水族館かぁ…。ちょっと遠出になるけど。よし、行くか。」
「しゅっぱーつ!」

と、元気に出発したのはいいけれど、寝不足と長時間、車に乗っていたのとで、不覚にも途中から爆睡。家から水族館までほとんど寝てた。

(あー、ありえなーい!)

今考えても、ホント穴があったら入りたい。
−大失敗!!

まぁ、彼は笑ってたけど。
その日の夜、おしゃれなレストランで、そっとテーブルに置かれた白いケース。

(えっ、もしかして指輪?)

なんて思いながら、そっと開けると、このルビーのピアスが…。
花の形の小さなピアス。

あの頃の私によく似合っていた。

鏡の前でピアスをつけてみる。
ルビーの赤い色だけがやけに目立つ。

今の私には可愛すぎて、不釣り合いだった。
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