君を護れるのは俺だけだって信じてるから【BL】
「アイツから貰うのはもう諦めた!
だからお前は大人しくアイツに運を分けて貰ってろ!」
何がだからなのかは解らないけど、
そう言って、そう君は電話をかけ始めた。
……相手はどうやら兄ちゃんみたいだ。
電話を切ったそう君は、
まるで俺を逃しはしない!というようにジッと見てくる。
「どこ行くんだ?!」
ちょっと立ち上がっただけで慌てて待ったをかけてくる。
「喉乾いたから、何か持ってくる」
答えてから、部屋を出ようとすると、
座らせられ、俺が取ってくるから、とそう君が立ち上がった。
「いいか?お前の運の悪さは、
今、成長期まっただ中なんだ。
だから迂闊に動いてみろ、
何が起こるかわかったもんじゃない!」
だから気を付けろ、念には念を!と、
訴えかけるように言いながら部屋を出ていく。
俺を見たまま。
つまり……後ろ向きで。
それを注意しようと口を開いたけれど、
そう君は真剣な顔でどれだけ危険かを話しつづける。
「いくら気を付けているつもりでも、
危険な事なんていくらでも転がってるんだ
それこそ、足元にゴロゴロと!
もうボットボト落ちて、」
そう君はきっと、昨日までの俺の部屋から出る感覚でいたんだ。
だけどこの部屋から出ると、すぐ近くに階段がある。
止める間もなく、彼は足を踏み外し、
ゴロゴロと階段を転がり落ち、
そして最後にボトッと玄関近くに尻餅をついた。
痛いと言いながらも、
重症は負っていないようだ。
ホッと息を吐き、俺も階下へと下りていく。