君を護れるのは俺だけだって信じてるから【BL】
突然よく解らない事を告げられた俺は、当然戸惑う。
だけど最近、兄ちゃんはよく俺に触れていた。
理由も無く手を握られたりしたのは、
もしかすると運を移す為だったんだろうか。
「護れるつもりだったんだけど」
眉を下げて俺の頭を撫でる兄ちゃん。
「十分、護ってもらってたんだよ」
だって、今までは大した傷を負った覚えが無い。
髪を滑る指に手を添えながら言う。
「護ってくれてありがとう」
階下からは、玄関のドアが閉まる音がした。
仕事の途中で一時帰宅してきたらしく、
朝には戻らなくちゃと、話し終えた途端、両親は出かける準備をしていた。
その前にもう1つ、言われた事がある。
俺の部屋の移動だ。
今の部屋から、
兄ちゃんの部屋の隣で物置と化していたはずの空き部屋に移った。
より近い方がいいという事だろう。
放置されていると思っていたのに、
意外にも綺麗で驚いた。
さらに予想外な事に、
クローゼットと思っていた扉の先には、
何故かユニットバスが。
何で?
どうして風呂・トイレ完備なんだ。
客間か何かだったんだろうか。
……今まで誰も泊まった事無い気がするけど。