夫婦ごっこ
私はすかさず目についたレシートを拾い上げた。

それはお洒落な英語の名前のついたお店で
パスタが二人分

確信はないけど 二人分っていうのに燃えた。


「いいよね~私なんてほんとどっかで食事だって
めったにないけど恒くんはいいね~どっかの誰かさんと
パスタ食べたんだ~~私もね
パスタ大好き……なんだけどね。」

そのレシートをゴミ箱に入れた。

「何だか嫌味ないい方だな。」


「いくら雇われてここに来たからって言ってもね
私にはここしかなくて会話する人間は恒くんだけでしょ?
ずっとずっとまともに話さないし 約束守んないし
私だからいいってこと?私には言い返す人権もないの?」


もう言いたいことをまくしたてる。


「ごめんそんなつもりじゃなかったんだけど…。」

「寂しいんだから…
私だって優しい言葉かけてもらいたいし
楽しい話しして笑いたい……。恒くん意地悪すぎる。」



感情が溢れて来て思わず家を飛び出した。



外に出て自転車に飛び乗った。 
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