夫婦ごっこ
食事をして買い物をして駐車場に車を入れたら
千鶴さんが車の中を懐中電灯で照らしてた。

「どうしたんですか?」

恒くんは私の少し後からついてきていた。


「あ…うん…ちょっと探し物なの。」

慌てた様子で車から降りて来た。

潤んだ瞳がキラキラ光っている。

「探し物は見つかりました?」私が聞くと

「ないみたい…。」

その時私の携帯が鳴って千鶴さんから目を離した。


「……もしもし…。」。


電話の相手は 桃音だった。
恒くんに変わってくれとか すっごく生意気で
話をしながら視線をゆっくり戻すと
千鶴さんと 恒くんが 見つめ合っているような気がした。


「誰?」恒くんが私に視線を移した。

「桃音……。恒くんに変わってって…。」

恒くんは 私の携帯を持って先に歩いて行った。


「じゃあ…見つかるといいですね。」
私は頭を下げて恒くんを追い掛けた。


  桃音め……恒くんにいったい何の用なの。


千鶴さんより桃音の電話の方が気になっていた。
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