夫婦ごっこ
「いや…なんか俺ってさ…ほんとマジ自分勝手で
最悪で…いっつも紅波を怒らせてるよな。」


  そうだよ怒ってるよ。

「名字まで変えて妻にして…んで好きなことしていいって
言ったって…そんな簡単にできるわけないよな。」


「そうだね…。遊びようがないもん。」

「都合よく利用してる…紅波のこと…。」

「わかってる。でも私も今さら行き場なんかないし…。
ここに居させてもらうしかないもん。」

「もしさ 俺といるの苦痛になったら我慢するなよ。
俺はすぐ身をひくから隠さないでなんでも話しして。」


「ずっと聞きたかったの。どうして?
どうしてこんなことしてんの?恒くんだって
好きな人と結婚したくなかったの?」

私は真実を知りたかった。


それを受け入れられるのかは…
今はわからないけれど……。


タオルをひっくりかえしてまた私の額につけた。

「紅波のそのまっすぐな瞳って
けっこう怖いよな。お見通しって感じで…。」


  わかんないから恒くんのこと…

「どうして私と結婚しようなんて言ったの?」


私はもう言葉を止められなかった。
それを知ったあとで自分がどうしようかとか
そんなことも考えれれなかったけど……
今はただ

恒くんのこと知りたいって…そう思った。
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