夫婦ごっこ
恒くんは利口だった。

私の肩をポンポンと数回叩いてシャワーに行って
出てきて用意をしてとっとと

「いってきます。」

そう言って出かけて行った。


あれ以上 恒くんと会話してたら私はきっと
言いたいこと爆発させて
最後には


「私だって恒くんを愛してるんだもん。」

そう叫んでいただろう。


言いすぎたかな……。


人のこと言えないのに私……。

暗い気持ちで店に出かけた。
忙しさがその暗い気持ちを一瞬だけ忘れさせてくれた。

「いらっしゃい・・・・ませ。」

少しはけてきた頃 ビオンが入って来た。
さすがに気まずい。

ミミちゃんが

「ビオンどうだったの?」と駆け寄った。


「うん。来週担当に会いに 東京に行く。」


「あら~~!!よかったじゃない!!」

ミミちゃんの大きな声にお客もふり向いた。
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