夫婦ごっこ
千鶴さんがわからない……


今日の朝の私と同じだと思った。
恒くんのことで 悲しくて切なくてどうにかなりそうな自分が
そばにいて優しくしてくれる
ビオンにすがりつく……。

それはビオンのことを自分が特別な存在だと
思っていること……。

いや
それはきれいごとで…結局利用している。

ビオンがただの友人として
接してくれていたら…そこに悪意はないけれど


もしかして恒くんのように
自分を想ってくれていたら……
それはビオンを振りまわすことになる。


「結局…卑怯だって思っていた千鶴さんと
私は同じで……
ビオンは千鶴さんにとっては恒くんなんだ。」


そう思うと全部につじつまがあっておかしくなって
笑ってしまった。


「もう…ビオンを苦しめるの…やめよう。
だって…私は恒くんを愛してるから……。」


今 千鶴さんの言動に振りまわされている恒くんに
ビオンを同じようにしてはいけない。


  まだ傷口が浅いうちに……。


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