夫婦ごっこ
朝の言葉のフォローを考えられなくて
私は恒くんを避けていた。

その空気は恒くんにも伝わって
私たちはあまり話さなくなっていた。


数日後 
店から帰ろうとしたらビオンが立っていた。

「よっ。」

「あ・・・よっ。」

「ちょっと話したいんだけどいいか?」

「うん。」

ビオンは私の自転車を押してくれて
公園の散策路に向かって歩いて行った。

「この前……。」ビオンが言いかけた時

「ごめんね…。私 ビオンに甘え過ぎてて…
押しかけたり…反省してる…。」

「俺も…ごめんな。
おかしなこと言って…おまえ混乱したんじゃないか?」

「え・・・?」

「帰るなとか…俺は泣かさないとか……。」


しばらく沈黙が続いていた。

「旦那のことでめっちゃ悩んでるのに
おかしなこと言って…また悩ませたんだろ。
ごめんな。」

「謝らないで……。私の方が…私の方が…
謝らないと……。自分勝手で…ごめんね。」

「旦那とはどうなってんだ?」

「あんまり会話してない。
何て話したらいいのか…わかんなくて…
口開くと余計なことまで言ってしまうから…。」

盗み見したビオンの横顔は
女の子みたいに 可愛くて…キュンとした。
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