夫婦ごっこ
前さんが訪れたのはその夜
入浴中なことを伝えると

「大浦に 明日千鶴が話しがあるって
言っているから病院に寄ってくれるように伝えて。」

そう言うと笑顔になった。

「前さん・・・元気になった?」

「この前はごめんね。俺もいつまでもこのままじゃ…
頭しっかり切り替えて頑張るしかない。」

「千鶴さんとはお話したの?」

「紅波ちゃんのアドバイス ちゃんと話せたよ。」

「よかった。」


前さんの表情が明るいのは 二人の間の誤解が
解けたからなのかなと思った。

「千鶴…妊娠してたんだ。
入院中にわかって……今のままじゃいけないって
二人でしっかり話しあえた。」

「え~~」

思わず大きな声を出していた。

「大浦には千鶴が直接話すって…そういうから
今は・・・・言わないでおいて。」

私や前さん夫婦にとっては
喜べる出来事だったけど 恒くんは…?


お風呂からあがってきって 缶ビールのふたを
開けた恒くんに

「千鶴さんが…会いたいって…。
明日来られたら寄ってほしいって言ってたみたい。」

恒くんは
「わかった。」そう言うと部屋にこもった。
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