夫婦ごっこ
二人が出かけて行って私は気が気じゃなかった。

昨日の夜 「おやすみ。」
そう言って恒くんは 背中を向けてすぐに寝てしまった。

いつも一人のダブルベットに
愛する人の寝息が聞こえる。

愛しくて…こんなに近くにいるのに
触れてはいけない人なんだ。


二人の間の距離に隙間風が吹いている。


朝起きて行ってビックリした。

「桃音 もう起きてるの?そしてすっごい
お洒落して・・・。高校生なのに…いいの?」

「おねえちゃんの高校の時の方がすごかったよ。
桃なんかまだまだ可愛いから。」

  あ っそ・・・。

にしても…そのお尻が見えそうなスカートとか…
胸のふくよかさを強調したブラウス……
それって…恒くんを挑発してない?

私のルームウエアーはTシャツに短パン……
胸は・・・さほど大きくないっていうか
桃音がでかすぎなんだって。

「おはよ 早いな。」
恒くんが起きてきた。

「早く行こうよ~~もう予定立ててるんだよ。
8時には出るからね。んでおねえちゃん 夕飯いらないから。
帰宅時間は夜9時ね。」

「は?どんだけ恒くんを連れまわす気?」

「だって約束したんだもんね。
こっちきたらつきあってくれるって。」

桃音は新聞を広げた恒くんの前に顔を
滑り込ませた。

「わがままお姫さまには困ったもんだ。」
恒くんが微笑んだ。
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