夫婦ごっこ
「桃・・・。」

「桃は何回も言ったでしょ。
恒くんが大好きって……なのに…
いっつもテキトーだったし 桃が大学生になったらな~って
なんで待たないでおねえちゃんなの?
絶対ありえない。恒くんもおねえちゃんも
絶対好きとかそんな気持ちないでしょ。」


  何を・・・・・

私の心臓は破裂しそうだった。

「俺は紅波を必要としてるんだよ。
紅波もそう……。幸せに暮らしてる。」

「嘘よ。二人にお似合いの要素なんて一つも
見つからないのに…。
どうして桃を待ってくれなかったの?
おねえちゃんの家教してる時からずっと好きだった。
恒くんが就職して行っちゃった時
凄く泣いたのに……恒くんのおばさんだって
桃がお嫁さんになってくれればいいのにって…
結婚式の時だって言ってた。」


  ガ~~ン

私は結構なショックを受けていた。

「俺はめっちゃ可愛い妹としか思ってないよ。
何度も家に来てくれてたけど
愛の告白もうれしかったけど 女とは見てない。
小さくて愛らしい妹でしかなかった。
ごめんね。これからも…きっと…
紅波の妹だから……。」


桃音の泣き声がした。

「私の方がずっとずっと恒くんを
好きなのに……ヒック…おねえちゃんなんかヒック
ずるい……ずるい…。」

 コトンと音がした。

それから沈黙が続いて私は心配になって
静かにベットから起き上がった。


ドアの隙間から洩れる光の方に
目を向けると


桃音と・・・恒くんが・・・・
キスをしていた。


  嘘でしょ・・・・。


心がガタガタって音をたてて崩れて行った。
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