夫婦ごっこ
宣伝が終わって 立ちあがった。

「夕食 夕食~~~。」

ビオンの頑張りが私のテンションも上げた。

「この人だろ?紅波が応援してる歌手。」

「うん。いい歌歌うんだよ。」

私はビオンの流れていた曲のサビを口ずさみながら
テーブルに料理を運んだ。

「さ 食べよう~~。」

「なんか今日はずい分テンション高いな。」

「そう?いただきま~~す。」

私が箸を持った時だった


「好きなんだろ?」

「え?何?アスパラ?好きよ。」

「違うって……さっきのビオンって言うヤツ。」


私はアスパラをポロンと落とした。

「ビオン?」

「そう。好きだったんだろ?
俺にはちゃんと言えよ。」


  何言ってるの?

「紅波に好きな男ができたら 俺はいつでも
背中を押してやるって言ったよな。」


私の頭の中は大混乱し始めている。
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