夫婦ごっこ

毎日毎日　飛び込んでくる恒くん

私はその姿に罪悪感を感じてる。


恒くんって人が　こんなにきを使ってくれるなんて
よっぽどの負担と無理をさせてるのが
悲しかった……。


一般病棟に移って社宅の奥様たちが
見舞いにやってきた。


この間噂してた人たちもいた。

松葉杖を使って歩くリハビリも始まって
私はけっこううまく杖を使うことができると
ほめられたくらいにして……

面会室に行って
奥様たちと話をしていた。


「大変だったわね。」

「はい。なんかこんなことになっちゃって。
わざわざすみませんでした。」

事故の話などしながら　時間がたった。


「ご主人も大変だったわね。」

「はい　すっかり迷惑かけてしまって。」

「仕事も大変な時に重なって…うちの主人も
気の毒がっていたわ。
大きな契約もダメになったらしくて……
御主人しっかり支えてあげてね。」

おせっかいな奥様の言葉にドキンとして
背筋が冷えていく。

「奥さんの事故の日が　大詰めの交渉日だったんだって。
ついてなかったわね。
あちらも緊急事態なんだから大目に見てくれたらいいのに。」


奥様たちは私の出方に注目している。