夫婦ごっこ
「そうだったんですか。夫はそんなこと一言も言わないから
いつも面会ぎりぎりに飛び込んできてくれて
たぶん疲れた顔してるから…心配してたんですけど…
私が足を引っ張ってしまったんですね。」

「そ そんな奥さん…奥さんのせいじゃないわ。
ね?みなさん。」

私の言葉に余計なことを言ったと
慌てた奥様が回りに同調を求めた。

「何もないのに…私の行動が浅はかだったから噂になって
夫にも余計な心労をかけてしまって……
謝っても夫は 大丈夫だよって…いつも優しいから…。
私は妻としてどう責任とったらいいんですか?」

奥様たちがあたふたしている。


私の言葉を帰ってきた夫に教えてあげて
それがあんたたちの役目。

恒くんを陥れるのは許さないから。

「私…友達もいないし…家にずっといてもと思って
パートに出てたんです。
もっとちゃんとそのことオープンにしたら
こんな大事にはならなかったんですね。反省してます。
抱き合ってたのは 自転車がつっこんできて
それをたまたまそばにいたオーナーのお孫さんが
助けてくれて…腰が抜けた私を抱えてくれただけなのに……。」


お願い

あんたたちの夫に伝えて

恒くんは悪くない……。
私を批判しても 恒くんを批判するのはやめて。


その汚い噂を私の責任でかき消してやる。


それが妻としての役目だから。


   うちの夫は最高の夫です

私は声を大きくしてそういった。
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