夫婦ごっこ

すっきりした。
涙を見せれば　奥様たちはすぐに同情するから。


くだらない噂で恒くんを陥れて……


その原因が自分だというのが
ものすごく辛かった。


あんなに仕事頑張ってたのに……
全部私のせいなんだ……。
恒くんはどうやって責任をとったんだろう。

きっと今も針のむしろのような生活を送っていて
もしかしたら席も窓際に追いやられたりしてないか
私は切なくて仕方なかった。


今晩も恒くんがやってきて
そんな辛い素振りも見せずに笑顔で
頑張れよって言って帰って行く。


情けなかった。
恒くんのためになること
一つもできずに

反対に陥れてる。


恒くんが帰ると窓を見た。

しばらくしてその暗い道をトボトボと
帰る恒くんを見て
私は想像しかできない。



「ごめんね。本当にごめんね。」


心に決めたことがあった。


夫婦ごっこを解消しよう。


悲しい決断だった……
でも私には荷が重すぎる………。


バカだから　何もしてあげられないのに
反対に何のためにもならない……。


私なんて……

自分が大嫌いになっていた。