夫婦ごっこ
足もずい分よくなって一か月後
退院を週末に控えていた。


恒くんは毎日 毎日欠かさずきてくれた。


  無理しちゃって……
事故に合わせたのが自分だと思って
責任を感じているのが 痛いほど感じられた。


「恒くん…もう自分を責めないでほしいの。
退院は週末だし…もうちゃんと歩けるから心配しないでね。
恒くんのせいなんかじゃないんだから。」


「ありがとう。
でも 来てるのは会いたいからだよ。」


  もっと早く聞きたかったな
  その言葉……。

そしたら天にも昇っちゃうのに


「ありがとう。」

「帰ったらちゃんと話しをしような。
この間中途半端だったしな。」


とうとうこの時が近づいてきてる。

「はい。」


恒くんをできそこないの夫婦ごっこから
解放してあげるね………。


もっともっと恒くんお似合いの人が現れる。


悲しいけどそれは私じゃないんだよね。


「おやすみ。へそしまえよ。」

恒くんは一人暗い街へ消えて行く。                  
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