夫婦ごっこ
行きたいところはもう決まっていた。
修学旅行で本当は行くはずだった沖縄。

あの海をこの目で見てみたい……。
それも一番愛してる人と同じ風景を見て
感動できたら

きっと恒くんもその思い出の中に
私は生きているから。

本土の観光はツアーに参加して
あとは島を巡ってボーっとする。


これが終わったら別々の人生を歩きだすけど
今はこの旅行だけを楽しみにしていた。

ガイドブックを買って
インターネット見て……
予定を立てるのがとても幸せだった。


ミミちゃんのお店にひさしぶりに顔を出した。
新しい主婦の人が働いていた。

「もう大丈夫なの?滑ってまた骨折しないでね。」

「うん。迷惑かけてごめんね。」

「うちこそベニーの復活待てなくて…ごめんね。」

「だって忙しいんだもん二カ月も大変だもの。
気にしないで。」

もう一人になったらお気楽な時間での
仕事はできなくなるからいい機会だった。

「旦那さんとはどう?」

「優しいよ。事故からめちゃめちゃ優しい。
無理してんだと思うけど…でも幸せだよ。
ミミちゃんに叱られたって言ってた~~。」

恒くんが
めっちゃ怖いと後で教えてくれたっけ。
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