夫婦ごっこ
「大丈夫か?」

私は首を振った。

「帰りも乗らないといけないんだね…。
そう思うと悲しくなる。うちはやっぱ車や汽車がいい。
もう飛行機乗りたくない…。」

泣きそうになった。

「少し眠れればあっという間なんだけどな。」

「あと・・・・まだニ時間もある…。」

完全に私の心はブルーだった。
沖縄を楽しむ心よりも 帰りまたこの飛行機に乗るかと思って
恐怖感で一杯になった。


「うちって本当にダメな女だね。
ごめんね。」

「大丈夫さ 二時間後には もう忘れてるって。」

恒くんが余裕に笑った。

「俺がいるから…少し眠りな。」

恒くんが私の頭を自分側に引き寄せた。

「そばにいるよ。一人じゃないんだぞ。」


私はハッとした。

  そばにいるよ…一人じゃない……


こんな素敵な台詞を言ってくれるなんて……
また好きになっちゃうじゃない……。


  もうすぐ一人になっちゃうんだ……

悲しくて涙が出そうになる。


  ずっと…そばにいて……。
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