夫婦ごっこ
タクシーは予定していた沖縄料理のお店の前で
私たちを降ろしてくれた。

「明日 ホテルに迎えに行きますね。
ここからの帰り道はさっきも言いましたけど
大丈夫ですか?」

「地図とにらめっこしてきました。」

「あはは・・・それじゃあ楽しんできてくださいね。」

そう言うと運転手は車を出した。

「お腹すいた~~~。」

今日の出来事を語り合って お互い自分で撮ったデジカメの
写真を見せ合った。

そこに…お互いの姿は…ない。

「ビデオ編集したら紅波にあげるよ。
やっぱ動画はいいもんな。」

「うん。」

多分 ビデオにも私の姿はないんだろう。
思い出は心の中に…しまっておく……
じゃないとここにいた人がいなくなるなんて悲しいから…。


それから夜の街をうろうろして
会社のおみやげや社宅のおみやげをさっさと選んで
宅配してもらうことにした。

「あ~~これでわずらわしいのから解放だな。
そうだ 明日から島行くけど…飛行機は小さいから
めっちゃ揺れるぞ。覚悟しとけよ。」

「え~~~あ~~もう~~~」

「大丈夫だって…さらに眼下はきれいだから。」


そうだね。
恒くんと時間を忘れてゆっくりできるなんて
最高だもん……

みんな思い出・・・
恒くんの思い出

私は大胆に腕を組んだ。

「帰るか。」恒くんが笑った。
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