夫婦ごっこ
狭い部屋でシャワーを浴びるのは大変だった。
那覇のホテルはビジネスホテルだったから
着替えることもできなくて
バスタオルを巻いて恒くんの前に出るしかなかった。

こんな姿見せるのは多分初めてだった。

「髪 まだ濡れてるぞ。」

「え?」体を隠すことしか考えてなくて 髪の毛は
テキトーだったから滴がぽたぽた落ちていた。


「ほら…子どもだな~~。」

恒くんが自分のタオルで私の髪の毛を優しく拭いてくれた。
心臓がドキンドキン 体中に心臓を感じてる。

「髪の毛…伸びたな。」

イスを持ってきて私を座らせて ドライヤーをかけ始めた。

「ありがと……。」必死に明るく言おうとしたけど声がかすれた。

優しい温かさが心地よい。

この部屋はクーラーききすぎだからちょうどいいかも。

「明日は水族館に行って…。」
恥ずかしさを紛らわすためにわざとに一人ごとを言った。


恒くんは黙ってドライヤーをかけてくれている。


  ね…何考えてる?
  恥ずかしくて死にそう……。

こんな姿で恒くんの前にいるなんて……
体が乾いてきて落ちそうになってきたバスタオルを
必死に胸のところでおさえた。


いい感じに谷間ができてたりして……

自分で想像してはドキドキまたしてるし……
私になんかで 発情しないんだろうな……。

千鶴さんはスタイルよかったもん……
話にならないか……

撃沈した。
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