夫婦ごっこ
管理人室からおじさんが出て来た。

「とうとう来たね。
どれどれ……幼な妻ちゃんは?」

真っ白な髪の毛で眼鏡をかけた
優しそうなおじいちゃんって感じ。


「ほ~~~ぉ!!これはこれは~~
なんと可愛い奥さまか。」


「松田さん 紅波です。
よろしくお願いします。」

恒くんが私をゆっくり見た。

「紅波と言います。よろしくお願いいたします。」

おじいちゃんの目を見てニッコリ笑ってから
頭を静かにさげた。


「松田です。よろしくね。」
松田さんはニッコリ微笑んで

「大浦くんが来るずっと前に
定年して夫婦でここで働かせてもらってるんだ。
今 うちのは買い物に行ってるよ。
世話好きだからいろいろわからんこと
聞きなさい。」


「ありがとうございます。」

「あとでこの辺り 散策するので
また顔出してみます。」
恒くんは松田さんから 鍵を受け取って
頭を下げる。

外面はいい若い者で
通ってるって感じかな……。
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