夫婦ごっこ
恒くんが真っ赤に日焼けした顔で眠っている。
うたた寝してて無防備で可愛い。

私は静かに近寄って 顔に耳を近づけた。
恒くんの息がくすぐったくて

「うふふ…」って笑った。

それからじーっと寝顔を見つめた。
もうこうして一緒にいられなくなるんだって
思うと全てが愛おしい……。

ちょっと生えかけのヒゲも……
右目の下の水ぼうそうの跡も……

その唇にそっと唇をよせた。


  紅波のこと…女だって思えない?

心で問う。


  こんなにキュンキュンして 紅波は淫乱なの?

時間がないって思うと焦ってしまう。
私の初めては全部 恒くんに奪ってほしい……。

頬に鼻先に…額に…そして唇に…眠っているのを
慎重に確認しながら唇を寄せる。


  変態だな……。


女にもこんなに性欲ってあるんだ。
性欲なこともしたことないのに…多分これは絶対それ。


冷静にそんな自分も見つめてみる。


私は恒くんの肩に頭を乗せて…目を閉じた。
夢で恒くんに会えますように……

会えたら伝えよう


  愛してますって……。
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