夫婦ごっこ
もしかして・・・もしかして・・・


恒くんの唇が私の首筋に触れるのを鏡で見ている。
そして耳たぶを甘く噛む。

「アン……」思わず声が出る。

それから左ほおに……恒くんは鏡の中の私から
視線をそらさないから恥ずかしくて真っ赤になる。


「紅波の頬は紅色に染まるんだよね。
キレイな色なんだ……。」

そう言うと自分の冷たい頬を寄せる。


「いいの?」恒くんがまっすぐ鏡の中の私を見る。

私はコクリとうなずいた。


鏡の前に私を立たせると 必死で押さえていた
バスタオルを脱がせた。


「キャ……。」恥ずかしくて顔をそむける。


「ほら…見てごらん…。
紅波はキレイだよ。多分世界一…キレイだよ。」

私は顔を手で覆った。


「うそつき。キレイじゃないもん…。」

「自信持てよ。これからはもっともっと
自分を好きになって……紅波は輝くんだから……。」

恒くんの言葉の魔法に腰が抜けそうだった。


「きれいだよ…透けるような白い肌……
柔らかい体……俺の理性も今夜で崩れたな……。」


恒くんの手が胸に伸びて……そして私はたまらず向きを変えて
恒くんにしがみつく。


「恒くんの……好きにして……。」

体中が 紅色に染まった。
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