夫婦ごっこ
食事以外は部屋で過ごした。
私はこの時とばかり わがままに甘えて過ごした。

まるで本物の夫婦のように
目が合えばキスをして……いい気持ちになって
愛し合う……。

たてまえも理性も 今ここにはいらない。

夫婦ごっこの契約を体を張って破ってしまった今…
私たちはお互いを素直に求め合う。

こんな簡単なことが
どうして一緒にいた時できなかったのかな。
素直になれば…怖いことなんかないのに


気を使うことなんて いらなかったのに。


でもこの柵を越えれたのは
私たちの夫婦ごっこを解消するって決めたからかもしれない。

  本当の夫婦になれた…夫婦ごっこ

時間は無情にも過ぎて行く。


私の白い肌には無数の紅色が
残されていた。


ずっと消えなきゃいいのに……
そしたら忘れない……一瞬でも愛されたという記憶を…



「朝が来ないといいのにね。」

朝日が差し込む……。

「うん。」

私は恒くんにしがみつく……。

  別れたくない

そう言ったら……恒くんは何て言うんだろう。
でも言えない……。

私は恒くんを幸せにしてあげられないんだもの。
キレイな思い出のうちに別れた方が…いい。

「抱いて……。」

これが 最後になるだろう……。
私は目を閉じた。



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