夫婦ごっこ
「明日 きみのイベントに行く予定だったんだけど
インフルエンザにかかっちゃって…俺がそのまえに
かかったからうつっちゃったんだと思う。」

「そうですか。あいつもついてない奴だな。」

ミミさんがビオンにランチを運んできて
俺にも

「食べなさい。」と置いた。

「いえ…いいです。」

「いいから栄養のあるものをあなたが食べたら
ベニーも安心するから。
お粥は新しいの炊くから…ほら食べなさい。」

ビオンと顔を突き合わせて食事か……。
「旦那さん ベニーにお粥つくってあげたくて
習いに来たのよ。こんなに愛を感じるのに別れるって。」

「は!?」
ビオンが口からトマトを落とした。

「な……なんで!?」


  おまえが・・・おまえのせいだろ?

「何で別れるんだよ!!」ビオンは声を荒げて俺の胸元をつかんだ。

華奢なわりの力があるんだな
俺はそんなことをのんびり考えていた。

「暴力はダメよ。ビオン。
この人ね ベニーが自分のことどんだけ愛してるか
わからない鈍感野郎なのよ。
ビオンがベニーをとっちゃいなさい。」

ミミちゃんがビオンを制して 俺らをイスに座らせた。

「そのつもりだよ。」

頭に来た。

「紅波をおまえに渡すつもりだ。
幸せにしろ。他のキレイな芸能人に心うつりしたら
俺が許さないからな。」

「この人…何言ってんだよ。」

「おまえと紅波は愛し合ってんだろ?
俺と結婚してたから紅波は…あきらめたんだろ?」

「ちょっと…待ってくれよ…。
いつ紅波が俺を好きだって言ったんだ?」

「あらら~~これは大変な勘違いね。」
ミミさんが笑った。
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