夫婦ごっこ
「見舞にも奥さんきてくれたみたいで。
ありがとうございます。」

「ああ。いや今回のことはさ 俺らも謝らないとな。」

「え?」

「噂にのっちゃったとこあったしさ。
奥さん毎日よく外出するのも噂を盛り上げたらしいけど。
パートしてたんだって?」

「いや~~ぁ……俺も気づかなくて。
寂しかったんだと思います。俺はこういう人間だし
向こうからきて一人で友達もいなくて……
料理が苦手だったから レストランで働いて
上達させたみたいです。」

「なんか見舞に行った時さ おくさんが
その誤解を必死に伝えたんだってさ。
おまえのことすごくかばってたって……。
自分を責めてたみたいだって。
それでその話を 奥さま連中が旦那に喋って…
あ~完璧なガサネタか~みたいな話しになってさ。」

俺の知らない話しだった。

「噂流してたやつらは特定できてたから
部長からヤキが入ったらしいぞ。」

「え?部長からですか?」

「おくさんの伝え方にうちのとかも
胸が打たれたって言ってた。
おまえのこと必死で守ろうとしてたって…
なんか忘れてたものを思い出させてくれたって
盛り上がったらしい。」


  紅波……。

「今回のぽしゃりのことで 奥さんかなりの
責任を感じてるようだったら…謝っておいてくれ。
ちゃんと伝わってるって……
奥さんの大事なダーリンは のびのび仕事してるって。」


感動していた。
俺は 紅波に何もしてやれてないのに…
紅波は俺の知らないとこで 俺を守ってくれたんだ。


帰って思いっきり抱きしめたい……
そう思った。
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