夫婦ごっこ
夕飯のおかずにラップをかけていた時だった。

「ウ……」何とも言えない吐き気が私を襲った。

慌ててトイレに駆け込んで少し吐いた。

「今度は…お腹の風邪かな……。」

ご飯もラップで包んで冷凍にしようか……。
炊けた炊飯器を開けた瞬間にまた

「ウゲェ・・・・・。」

今度はさっきの二倍あるくらいの吐き気で
仕方がないからシンクに顔を埋めて吐いた。

「やばい・・・・風邪だよ。
昔やった……上から下から…大変だった。
恒くんにうつしたら大変だ。」

私はマスクをかけて 感染しないように
用心しようと思った。


パソコンで求人情報を見ていると恒くんが帰って来た。


「11時半……早い~~。」嬉しくなった。


「おかえり~~。」

「起きてたか。おみやげ買ってきたぞ。」

「え?おみやげ?」

「寿司~~~。」

「キャ~~~すごいすごい
なんかドラマのおとうさんみたいだね。」

「ここの寿司うまいんだって
一緒に食べよう。」

私は寿司のおみやげにウキウキしてる。

「あれ?マスクしてる。どうした?」

「うん…ごめんね。ちょっとまた
風邪ひいたみたいなの。」

恒くんが近寄ってきて 額に手をあてようとしたから

「ダメダメ 風邪うつったら大変だよ。
なんかやっかいなんだもん。お腹の風邪みたい。」

恒くんはなぜだか少しガッカリした様子に見えた。

「ごめんね。」慌てて謝る。

「え?いやいや違うって…紅波が謝るなよ~~。」

恒くんは頭をかきながら部屋に入って行った。
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