夫婦ごっこ
「噂の…幼な妻ちゃん登場だ~~。」

ノリが今までと全然違う。
体のガッチリした体育系の男の人だった。

「おまえ声でかいから。」

この人が嫌いなのか恒くんの声が
さらに冷たく聞こえた。

「同僚の 前 智樹 。」

「はじめまして。紅波です。
主人がいつもお世話になってます。」

「俺が世話をしてるんだ。」恒くんが後からそう言った。

「そうなんだよ。今年から
転勤でこっちに戻ってきたから
こいつにはホント世話になってるんだよ。
知らなかったな~こんな可愛い彼女がいたの。」

人懐っこく笑う人だった。

「千鶴~~噂の幼妻きたぞ~~。」
家の中に向かって大きな声をあげた。

「だからよ…うっさいんだって…。」

また恒くん 意地悪な声を出した。
この人たちのことあんまり最初に言わなかったな。


「は~~い~~。」
向こう側から顔を出したのは
すごくキレイな人だった。


「俺の奥さん~~
うちも実はまだ新婚なんだよ。」

前さんはそう言っておどけた。
< 34 / 346 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop