夫婦ごっこ
「すごいですね~主任 
その若さで係長だなんて異例だって噂です。
出世する秘訣教えてくださいよ。」

部下の人は私くらいかな・・・。
まだ若そうで 少し前さんっぽい天然素材。


「ん・・・・・・。
いい奥さんに愛されることかな。」

恒くんの言葉に三人がポカンと口を開けた。

「何を…もうふざけて~~。」
私が照れて恒くんを突いた。


「大切なものを守ろうと思えば仕事も自分だけの
ことじゃないだろ。
家族のために俺は働いてるんだ。
疲れて帰れば 愛する妻の笑顔に癒され 元気をもらって
頑張れる。奥さん 頑張ってね。」

そう言うとケラケラ笑って恒くんが
私の手を引っ張って歩きだした。

「あ…すみません…参考にならなくて…
失礼します……。」

唖然とする二人に頭をさげて 歩きだす。


「もう 真面目に答えてあげなよ。」

「いたって真面目。俺の成功は 紅波の手の中にある。
おまえがいるから頑張れるんだからな。」


感動で涙が出そうになった。


「ありがとう……。」

「俺の台詞 それは。」

恒くんの手が私の手を強く包み込んだ。
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