夫婦ごっこ
「俺たち同期なんだよ。
うちの愛する奥さん 千鶴で~す。」

とことん明るい人だ……。

「もう…ごめんなさいね。
やめなさい…恥ずかしいから……。
ビックリしてるでしょ?
千鶴です。よろしくお願いします。」

千鶴さんは前さんの耳をひっぱってニッコリした。

「紅波です。何もわからなくて…いろいろ
教えて下さい。よろしくお願いします。」

「私も来たばっかりなの。よかったら一緒に勉強しましょ。」

見惚れるほどキレイな人だった。


「大浦さん 犯罪ね~こんな若い奥さん。」

「ま~~ね。っということでよろしく頼むよ。」

恒くんが面倒くさそうに言ってドアを閉めようとした。

「何よ~~ちょっと待てよ~~。」

あくまでもしつこい前さんは
完全に恒くんを からかっている様子。

ペースを崩されて恒くんは
イライラしている。


  ざまみろ……

いつもすかしてるから
私もそんな恒くんを見てるとおかしかった。


「こいつさ すぐ怒るんだよな。
いやなことあったらすぐにウチにおいでね。」

前さんが顔を出した。


「うっせーぞ。なんでおまえの隣なんだろな。」
恒くんはそう言うと家のドアを開けて
先に帰って行った。

「それじゃ……。」
私が頭を下げると

千鶴さんも顔を出して夫婦でニッコリ手を振った。
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