夫婦ごっこ
「前さんみたいなダーリンだったら
楽しいんだろうな~。いっつも笑ったりして。」

多分そこつかれたくないと思ってる恒くんにむけて
直球勝負をしてやった。

「ああいうやつはたまにならいいけど
毎日一緒だとウザイからな。」

「でも家庭にはああいう明るさが必要だわ。
奥さんも幸せそうだったし~いつも笑ってる感じ。」

「いいよ あいつらのことは。
それに俺たちは別にそんなこと追求しなくてもいいし。」


  そうじゃないとは言えなかった

不貞腐れてると 視線に気づいて
恒くんを見た。

「何?」怒ったように言う。

「紅波さ…向こうで会った時の何倍も今 可愛いな。」

「え・・・・・!!」
思いがけない言葉に飛びあがる。

「いや…ほらあのヤンキーの時はつっぱりすぎてて
可愛らしさの欠片もなかったけどさ
いろんな表情を見てるとめっちゃ可愛いなって。」

口から心臓が出そうになってる。

「そ…そんな…そんなこと言ったって……
何にもでないから……。」

残りのジュースをのみほした。

恒くんは意地悪そうな笑顔で
「じゃあ 行きますか?」と
たちあがった。

助かった・・・って本気で思った。
だってすごく恥ずかしかったから…。
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