夫婦ごっこ
先にお風呂に入って出てくると
恒くんはもう仕事を始めていた。

「仕事好きなんだね。」

「段取りしたいんだ。時間に追われれるのは好きじゃない。
前もってやっておきたいからな。」

私はテレビの前でお肌のお手入れタイム。

こうなったら結婚式では最高の主人公に
なってやるんだから。

エステというところに行ってからは
本当にお肌がツルツル
すっぴんもキレイになった。
恒くんは薄化粧の方がお好みだから
本当にうっすらとしかお化粧はしない。

ムダ毛の処理だって今は完ぺき。

花嫁さんコースももうすぐ終わっちゃうのか
これからまたここ…ムダ毛処理と
戦うんだな~~。つるつるの脇をさわった。

あのまま恒くんに再会しなかったら
自分はどうなってたんだろう。
きっと無理を続けてあの世界の男の誰かと
くっついて…お金も仕事もない毎日に
子どもが泣き叫んで……
暴力受けて離婚して…


思わず首を振った。

それなら愛はなくても…満ち足りた生活の
契約結婚の方が何百倍も幸せだった。

「寝るね・・・。」

「おやすみ。」

私は一人で眠るダブルベットに飛び込んだ。
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