夫婦ごっこ
「も~~ともちん…いい加減にして。」
千鶴さんから出た言葉に私はまたしても

「と…ともちん……なんですか?前さ・・・・
あはは…はは…あ…。」

笑いすぎて呼吸が苦しくなった。

  ヒューヒュー……

ひさしぶりだった。
私は喘息なんだった。


「あれ?大丈夫かい?」
前さんが私を覗き込む。


「あ……はい…ヒュー…ヒュー…。」
気管の音が大きくなった。


「紅波?」恒くんは私を抱きかかえた。


「紅ちゃんって喘息なの?」千鶴さんの声


「あ…ちょっと……いや…。」もたつく恒くん。

恒くんは私が喘息持ちだなんて知らないから

「大丈夫です……。」

ポケットに忍ばせてある吸入をスーッと吸って
深呼吸した。

「フ~~」

もう一回深呼吸……。

「ごめんなさい。笑いすぎちゃって…。
ずっと出てなかったんだけど…やっぱり北海道は
少し空気がひんやりしてるからかな…。」


「ごめんな。俺調子のりすぎて…。」
前さんが本当にすまなそうに言った。
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