夫婦ごっこ
こっちの春はやっぱり風が冷たいし…
何より心がさびしい……。
わかっててこの契約結婚を選んできたけど ここで
私は一人孤独なんだと思うと切ない……。

恒くんはきっと今頃
紅波はバカだなとか思いながら仕事してるんだ。

心配の一つもしてくれない

もう少ししたらきっと誰か通るよ……。
きっときっと・・・・。

心の中でたくさんたくさん切なさを吐露してしまう時間だった。

いったい今 何時なのか……

ため息を何回ついたのか……

心細くて涙なんか出たくらいにして……

その時だった足音が聞こえて

  あ~~助かった……。

振り返ると 鬼のような顔をした恒くんが走ってきた。


「つ…恒くぅぅ~~~~ん…。」

恒くんの姿が 涙でにじんだ。
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