夫婦ごっこ
「おまえな……。」かなりおこった顔だけど
それでも私には最高の救世主のように感じた。

「何やって……。」言いかけた恒くんに抱きついた。


「うわ~~~ん~~~。」

自分でも止められなかった。
子供みたいに大声をあげて泣きまくった。

「まったく…心配させて…俺は何年ぶりに走りまくったぞ。」

だから汗でシャツが濡れてるんだ……。


「だって…恒くん…ヒック…ヒック…一人で
行っちゃうから……ヒック…苦しくて追いつけなくて…。」


嗚咽の音が大きくて恥ずかしい。

「あ……そっか ごめん……。」

そういうと恒くんの手が私の頭に触れた。


電気が・・・・体中に流れた……。

「ごめんな…。苦しかったんだな。」

優しい手が頭を滑る……。


  恒くん……私…

そのあとに続く言葉を必死で飲み込んだ。

契約違反……

絶対にダメ……

少しだけこのまま優しい恒くんに触れさせて……。
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