夫婦ごっこ
「今日はありがとう。」
お風呂から出て来た恒くんに ビールを手渡した。

「親御さんも安心しただろう。俺としては昔からの知り合いだからね
なんか心苦しいとこもあるんだけど……。」

恒くんのおかあさんとうちの母親は テニススクールに
通っていて仲が良くなって
それで大学生だった恒くんが私の家庭教師をすることになった。

「いいよ。私にとって親だなんて思ってない。」

「なんか寂しいな…。」

「っていうか恒くんのおかあさまはいつ来るの?」

「うちは当日だってさ。忙しいらしいよ。
言っておくけどうちの母親なんかもっと母親らしくないよ。
あっちの家庭の方が大事なんだからさ。
あはは・・・・。年下のテニスコーチを連れてきて
結婚するって言った時には俺もビックリしたけどさ
うちは早く離婚してたから…ま…かあさんも幸せになって
よかったよ。」


恒くんの顔が優しいのは おかあさん思いだからなのね。


「年下のコーチっていくつ違うの?」

「かあさんより13歳も若いよ。ただあの人は
バツイチで子どもが二人いるんだけどさ~~
かあさんによくなついてるみたいだし
よかったよ。」


「おかあさん凄いんだ。うらやましいわ。」


そういうと恒くんが嬉しそうな顔をした。
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