夫婦ごっこ
「結婚式はとうとうあさってだけど…俺からも
紅波に確認があるんだけど
大学の仲間がたくさん来てきっといろいろ大変だと
思うんだけど…さ。
あくまでも最初の打ち合わせ通り 紅波が押して
こうなったってとこで……。」


「はいはい……。わかってますよ。」

私が幼心に 恒くんに恋をして 帰省した恒くんに
迫って結婚にこぎついけたというストーリー。


「悪いけど…頼むわ。」

「今日頑張ってくれたから 恩返しするよ。」


私はそう言った。

「結婚式か………。」恒くんの声に

「ウエディングドレス……似合うかな。」

「似合うでしょ…。俺が選んだからさ。
間違いはないよ。」

「世界一キレイな花嫁になる日なんだって。
ダーリンのために……それから育ててくれた親のために…。」

なんだか複雑だった。
ウエディングドレスをキレイだねって心から
褒めてくれる人なんかいないのに主役だなんてね……。


「私ってさ ちっこい頃からずっと演技してきたの。
いい子でいるように頑張って演技してきたから…
上手く演じられるよ。恒くんが要求する花嫁を……。」


結婚式はもう少し……。



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