夫婦ごっこ
「ちょっと…ちょっと紅ちゃんなの?」

恒くんの母親が式場に入った私に駆け寄ってきた。
私はうっすらしか覚えてなくて


「おひさしぶりです。よろしくお願いします。」
挨拶をした。

「知らなかったわ。あの紅ちゃんがうちの息子に片想い
してくれてたなんて……。」

  きたきた・・・・

「はい……。恒くんの家庭教師は最高だったから……
教え方もすごくいいし…憧れちゃったんです。」

「そうなの?ビックリよ。
まさかあの 紅ちゃんがお嫁さんになるなんて…
おかあさん来てる?」

「控室にいると思います。」

「挨拶してくるわ。」

若い夫がいるせいか とっても若作りだった。

幸せな人はいくつになっても輝いているんだ。


衣装室に入ったら恒くんが選んだウェディングドレスが
大きな鏡の前に二着並んでた。

「これ…着るんだ……。」


純白のドレスとピンクのカクテルドレス


一世一代の演技が始まる。
高鳴る 心臓をおさえた。
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