夫婦ごっこ
指輪の交換もした。
これも二人で一緒に選んだわけではなかったけど
私は恒くんに雇われているんだし
こういうところで契約結婚を痛感する。


私の方の参列者は家族と親しい親族のみ。

あとは恒くんの招待客ばかり。
事前の打ち合わせは恒くんから聞いてるだけだったから
私はなんだかぶっつけ本番のようで
緊張していた。

「誓いのキスを。」

神父さんに言われると恒くんは私のベールを
開いてジッと見つめた。
頬にされるのはわかっているけど
なんだかドキドキして頬が赤くなった気がした。


耳元に口を近づけて
「緊張すんな。堂々としてろ。めっちゃキレイだから。」
そう囁いて顔を離した。

私の緊張具合は手にしてる手袋から
伝わったんだろう……。

恒くんに笑い返すと


  !!??

唇に恒くんの唇が触れた。
本当にちょっとだけだったけど……


  ファーストキス……


ニヤリと笑って恒くんが顔を離した。


それから先の事はあんまり覚えてなかった。
どうしてキスしたの・・・・?

つないだ恒くんの手は冷たい……。
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