夫婦ごっこ
「そうなんだよね…。ほんと怒られてばっか…。
なんで目の敵にするんだろ~~。」

前さんが大げさに哀しむポーズをとったから
みんな大爆笑した。

「前さんは会社でもこうなんですか?」

私が言うと すかさず恒くんが

「だからイライラすんだよ。こいつは切り替えできないから。
人が真面目にやってんのに 横でふざけてんだからさ。」

「ごめんなさ~~い 大浦くぅ~~ん。」
またおふざけで返す。


  そういうとこが恒くんのカンに触るのね。
  でも大学生の時負けないくらいこんなんだったし?
  恒くんだって人のこと言えないじゃん。

「しかしこいつはよくま~~ぁ
職場の華だった千鶴ちゃんをゲットしたよな。
これはもう魔法にかけたのか惚れ薬を飲ませたのか
謎だよな~~相変わらず美しかった千鶴ちゃん~~。」

吉田さんが言うとまわりのみんなが
一斉にうなずき始めた。


「千鶴にだけわかればいいんだよ。俺のよさは……。」


そう言うとみんなにピースしておどけた。


ふと 恒くんの顔を見た。
冷たい顔をしていた……。
前さんが苦手な顔とは少し違う気がしたけど


私もみんなと一緒に笑った。
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