男子校の七不思議?【BL】
「後ずさった俺の背中に、何かが触れたんだ」
それはお湯で暖まった体の自分には、とても冷たく感じたそうだ。
「一瞬の内に、背筋が凍ったよ。
その後は、怖かったからさ、
目をつぶってドアまで行ったんだ。
何にもぶつからないし、ほら、誰もいないじゃん!って目を開けたんだ。
そしたら、映っていたんだよ、鏡に。
男に抱きしめられている俺の姿が!」
「それでドアとは逆の鏡に突っ込んで、
切り傷まみれの血だらけで気絶していたんだ」
見つけた俺の方が怖かった。と樫本先輩は語る。
そして久芝先輩は、
鏡で切ってしまったのと、
強く頭を打ち付けた事で、暫くの間入院。
この部屋で起こったのは、以上の出来事だそうだ。
「男の霊が、この部屋にはいる!」
「……部屋に憑いてない」
熱く訴える久芝先輩と、
醒めた口調でため息交じりの樫本先輩。
「まあまあまあ!」
怪我する以前に起こった出来事をもっと詳しく聞きたいと、千秋は久芝先輩の個室へと入っていった。
残された俺は、樫本先輩へと問いかけてみた。
「先輩は、部屋には居ない。と思うんですよね?」
部屋には。
部屋に、は。
そこに重点を置いて言ってみると、意図に気付いた先輩は笑って、
「本当の事を話そうか」
先輩から見た、男の幽霊の話を聞かせてくれた。