男子校の七不思議?【BL】
そこにあったのは、鏡だった。
どこかの壁に取りつけていたのを外してきたらしく、支えの無い1枚のままで、棚に立てかけられている。
左下には、数十年前の卒業生の寄贈であると表記があった。
……ひょっとして、この鏡は千秋の探している物なんだろうか?
だとしたら、見つからないはずだ。
ここには校庭に面した窓は無い。
「紹介するよ。この人が俺の恋人」
促され、縦にも横にも長い鏡の正面に立った。
俺の右側に大原が立っている、はずなのに。
人1人分ほど空けてあるはずの空間に、鏡の中ではもう1人存在している。
大原の方へ寄って立つその人は、
確かにさっき聞いた通り、美しい顔立ちをしていた。
しかし驚くのは、その外見の所為ではない。
何度隣と鏡を見比べてみても、こちらでは誰も居ないのだ。
この鏡が千秋の探している物だとするなら、鏡に映る彼は過去の人という事なんだろうか?
「古西(こにし)さんっていうんだ」
驚いたか?と大原が笑う。
そりゃ、驚くに決まっているだろう。
もしくは鏡じゃなくてモニターか何かなのかと疑うかだ。