男子校の七不思議?【BL】
「古西さんの方では、
あの鏡は未来を映す鏡って言われてるんだ」
本当はきっと、過去と未来を繋げる鏡なんじゃないかな、と大原は言う。
そういえば、どうしてあんなに埃っぽい所に運んだんだろうか。
その事を尋ねると、こちらでも向こうでも人目につきにくい場所を探した結果だそうだ。
「それとさ、あの窓。
カーテン開けると結構景色いいんだ」
校庭でも中庭でもないそこは、滅多に誰にも見られないけれど、花が咲いていて結構綺麗らしい。
寮へと帰るため歩きながらそんな事を話していると、角から曲がってきた生徒とすれ違う。
背の高さは俺たちの肩を少し越す位で。
背格好の他にもさらさらと動きに合わせて動く黒髪は、さっき見た人物に似ていた。
大原はすれ違いざまに、衝動的にといった様子で勢いよく振り返る。
相手も驚いたのかこちらを振り返った。
けれど、似ているだけ。
それは彼も解っていたのだろう。
苦笑いでその生徒と俺に謝ると、止めていた足を動かした。
すれ違う事すら、彼らには出来ない。
決して交わる事の無い時間軸で、
彼等は互いに愛し合っている。
これ以上ない程に愛しいと思った相手とがそうだったなら、幸せなんだろうか。
出会えた事は幸福でも。
例えとして、自分で置き換えて想像してみた。
いつも会いたいと思う。
少しでもいいから触れたいと願う。
それは、千秋が傍にいる今を知っているからだろうか。
結局の所、何も解らない。
そんなものだろうと思いながらも、暇つぶしとして考えてみる。
……千秋、早く帰ってこないかな。