男子校の七不思議?【BL】
「とにかく行こう!」
向こうも埒が明かないと思ったのか……説明してくれればいいだけなのだけれど。
彼は俺の手を取り、止めていた足を再び動かし始める。
反対の手の指す方は向かっている方向で、
目も意識もそちら側にばかり向けられている。
少しぐらいなら気づかれまいと、俺は掴まれた手をそっと握った。
時刻は夕方。
早い奴はもう夕食を食べに食堂か、
すでに風呂に入っている者もいるだろう。
そう、そこなんだ。
千秋は張り切って歩いているけれど、
今の時間、問題の大浴場は上級生が占拠中だったように思う。
一部のやたら熱血な体育会系の部員に巻き込まれ、若干上下関係に煩いのだ。
だからもしかすると、
中に入れないかもしれない。
まあそうなったらなったで、
慰めながら食堂にでも向かうとしようか。
その方が俺にとっては嬉しい。
だけど……
とても楽しそうな彼を見ていると、
どっちでも付き合ってやろうと、
こっちまで気持ちが浮上してくるから困る。