男子校の七不思議?【BL】

どうして一時的にしろ、忘れている事があったんだろうか。

顔を上げて教室を見回す。
教壇近くの、大原の机が視界に入る。

彼は机の中に、主要教科の教科書を入れっぱなしにしていたはず。

しかし教科書はおろか、病欠以外なら尚更入れられていそうなプリントの1枚も入っていない。
誰かが届けようと思って持ち帰った?
いや、だとすれば名前でなくとも、彼を意識させる言動があったはずだ。

気にし過ぎだろうか。

しかし気になったので、あの空き教室へ行ってみる事にしよう。


あの日と同じで、空き教室の周辺には人気が無い。

大原が居るのなら、きっと恋人と話しているのだろう。
……なのに、声は聞こえてこない。

ガラッと音を立ててドアを開く。
相変わらずの教室は、その振動で埃が舞う。

歩みを進め、棚に囲まれた鏡の方を目指す。


覗き込んだそこに、大原は居なかった。

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