男子校の七不思議?【BL】
言われると、つい見てしまう。
鏡程滑らかではない、少し曇ったような表面に、歪んだ俺の顔が映る。
でも、それだけだ。
何の変哲も無い、ただのスプーンとしか思えないけれど。
これから何かが起こるとでもいうのか。
じっと銀色の表面に写る自分の姿を見ていると、千秋が喋りかけてきた。
「なあ与、」
「何だ?」
1口食べたいのだろうか。
そう思い横を向くと、想像もしない言葉が返ってきた。
「俺の事好きだろ」
「…………っ、」
絶句してしまう。
バレていた事よりも、唐突に何を言い出すのだ。という事が大きい。
冗談かもしれない。いきなりすぎる。
けれどいつものように笑っている顔を見ると、つい肯定してしまう。
「……うん」
頷きながら返すと、千秋は蔑むように目を細め、ハハッと笑い、言った。
「気持ち悪い」
その言葉通り、声には確かな侮蔑と嫌悪が現れていた。
俺は何も返す事が出来ずに、
口を半開きにして呆然としてしまう。
彼の方を見る事が出来ない。
思わず目を閉じた。