男子校の七不思議?【BL】


言われると、つい見てしまう。

鏡程滑らかではない、少し曇ったような表面に、歪んだ俺の顔が映る。
でも、それだけだ。
何の変哲も無い、ただのスプーンとしか思えないけれど。

これから何かが起こるとでもいうのか。
じっと銀色の表面に写る自分の姿を見ていると、千秋が喋りかけてきた。

「なあ与、」

「何だ?」

1口食べたいのだろうか。
そう思い横を向くと、想像もしない言葉が返ってきた。


「俺の事好きだろ」


「…………っ、」

絶句してしまう。

バレていた事よりも、唐突に何を言い出すのだ。という事が大きい。
冗談かもしれない。いきなりすぎる。

けれどいつものように笑っている顔を見ると、つい肯定してしまう。

「……うん」

頷きながら返すと、千秋は蔑むように目を細め、ハハッと笑い、言った。


「気持ち悪い」

その言葉通り、声には確かな侮蔑と嫌悪が現れていた。


俺は何も返す事が出来ずに、
口を半開きにして呆然としてしまう。

彼の方を見る事が出来ない。
思わず目を閉じた。

< 41 / 73 >

この作品をシェア

pagetop