男子校の七不思議?【BL】
……とりあえず出よう。
そうだ、それがいい。
しかしドアから手を離した瞬間、
離したはずの手に再び、硬い金属が当たる。
中からドアが押され、少し開いたのだ。
その隙間から、肌色が覗いた。腕なんだろうか。
「ど う ぞ ?」
同じ年代とは思えない、低く掠れた声がそう言う。
ダメだ。
多分、開けさせちゃいけない。
言い知れぬ恐怖に襲われ、全身に鳥肌が立つ。
別に俺は怖い話が苦手な訳じゃない。
これぐらいなら誰かの悪戯だと、普段ならそう思うはずなのに。
なのに、なんだろう。
この、嫌な感じは。
纏わりつくような、ジトリとした。
どちらかに分類するなら熱い。
そんな視線に似た何かに、俺は寒気を覚えた。
慌てて全力でドアを押し返す。
しかし向こうもすごい力だ。
人なのか、そうじゃないのか。
これが例のあの子なのか。
そんな事はどうでもいい。
とにかく、出てこないでくれ。